浮世絵学04絵本東わらハ_1804(文化1)豊廣(1765-1829)(65)/絵本東わらハ_上下 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)http://www.ukiyo-e.co.jp/97695
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1982-04-29現在(2023-03-09更新)

浮世絵学:ukiyo-e study  浮世絵鑑定(肉筆浮世絵、錦絵):judge

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

酒井 雁高(がんこう)(浮世絵・酒井好古堂主人)

*学芸員 *浮世絵鑑定家 📞 Phone 03-3591-4678(東京・有楽町)

酒井 邦男(くにお)  酒井好古堂・副代表    *学芸員     *浮世絵鑑定家

100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14(東京・有楽町 帝国ホテルタワー前) 

日本最古の浮世絵専門店

1803葵衛(齋藤秋圃)/葵氏艶譜


ALL浮世絵学 記事一覧    All articles and images of Ukiyo-eGaku

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G浮世絵学00 御案内 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)  Guide

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R浮世絵学00/複製・復刻 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)http://www.ukiyo-e.co.jp/88211

 

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V浮世絵学 ミニ動画     Mini-film, about 5 minutes 

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*1946、私、酒井雁高(がんこう)、(戸籍名、信夫のぶお)は、酒井藤吉、酒井十九子の次男として生まれた。生まれた時から、浮世絵に囲まれ、浮世絵博物館に組み込まれていたように思う。1966、兄・正一(しょういち)が冬山のスキー事故で死亡。いきなり、私に役目が廻ってきた。それにしても、子供が先に亡くなるとは、両親の悲しみは察して、余りある。母は、閉じこもったきり、黙ったままの父に、何も話すことが出来なかったという。

*1967、私は大学の経済学部を卒業し、すぐ文学部国文科へ学士入学。何とか、源氏物語など、各種日本文学、江戸文学も多少、学ぶことが出来、変体仮名なども読めるようになった。http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/edit-comments.php

*1982年以来、浮世絵博物館と一緒に過ごしてきた。博物館が女房替わりをしてくれたのかも知れない。

*それでは子供、というと、これら浮世絵学、1,259項目であろうか。一所(浮世絵学)懸命、学問としての浮世絵学を成長させてきたつもりである。今後も、御支援、御指導を賜りたい。2021-06-20酒井雁高・識

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日本で最古の浮世絵専門店。幕末の開明思想家・佐久間象山(1811-1864)(しょうざん)が、酒井義好(1810-1869)*よしたか の書齋を「好古堂」と命名しました。1982、酒井藤吉(とうきち)・十九子(とくこ)、酒井貞助(ていすけ)・富美江(ふみえ)、酒井泉三郎(せんざぶろう)・美代子(みよこ)らは、好古堂蒐集品を基として、父祖の地、松本市郊外に、日本浮世絵博物館を創立しました。

父・藤吉が亡くなってから、酒井信夫・雁高(がんこう)、そして酒井邦男が継承し、世界各地で65回の浮世絵展覧会を開催して今日に至っています。皆様のご指導ご鞭撻を御願い致します。

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 *Sakai Kohkodou Gallery  酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) Japanese Traditional Woodblock Prints  

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

2022 SAKAI, gankow   酒井雁高

2018 SAKAI gankow

 

2020 SAKAI kunio

 
*ファックス、使えません。
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1804(文化1)豊廣/絵本東わらハ_上下、和泉屋市兵衛

 *1802(享和2)豊國/絵本時世粧 えほんいまようすがた

 *1804(享和4)豊廣/絵本東わらハ

 *1804(享和4)哥麿/青樓絵本・年中行事

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豊國(1769-1825)(57)
*1802(享和2)絵本時世粧、和泉屋市兵衛 *いまようすがた
*1802(享和2)豊國/絵本時世粧 乾坤 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)
 
豊廣(1765-1829)(65)
*1804(享和4)絵本東わらは、和泉屋市兵衛
1804(享和4)豊廣(1765-1829)(65)/絵本東わらハ_上下 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)http://www.ukiyo-e.co.jp/97695
 

蔦重(1750-1797)

哥麿(1750s-1806)
*1804(享和4)青樓絵本・年中行事  *本書は、豊國、豊廣の絵本を参照している
一九(1765-1831)

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哥麿(1750s-1806)(50s) 喜多川~

 *1804(享和4)青樓絵本・年中行事

一九( 1765-1831)(67)  十返舎~

 *1804(享和4)青樓絵本・年中行事

豊廣(1765-1829)(65)
 *1804(享和4)絵本東わらハ *正月から極月まで、十二ヶ月の年中行事が著名な神社仏閣で紹介されている

豊國(1769-1825)(57)

 *1802(享和2)絵本時世粧 えほんいまようすがた

芝の屋山陽(1770s-1836) 生年が不明 山陽堂 絵本東わらハ、序文。この時、30歳代か  

芝の屋山陽(1770s-1836c)  しばのや-さんよう  江戸時代中期-後期の狂歌師。

*1804(文化1)絵本東わらハ、序文  

大田南畝(なんぽ)に狂詩を,万象亭(まんぞうてい)に狂歌をまなぶ。一時,朱楽菅江(あけら-かんこう),唐衣橘洲(からころも-きっしゅう)の社中にはいり,寛政8年(1796)四方側(よもがわ)の判者となった。天保(てんぽう)7年ごろ死去。姓は小島,のち能勢。名は嘉門。通称は内記。別号に山陽堂,奇応観。編著に「狂歌立雲集」「狂歌年代記」など。(雁註)狂歌年代記、原本は未確認
・朱楽菅江(1738-1798)(61) かんこう
・唐衣橘洲(1743-1802)(60) きっしゅう

・大田南畝(1749-1823)(75) なんぽ

・万象亭(1756-1809)(54) *桂川甫粲 ほさん まんぞうてい
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原本は浮世絵博物館も所蔵していない。復刻を転載し、翻刻する。
久保田米齋の風俗絵巻図画刊行会の複製本。大本で、上の余白が有り過ぎる。恐らく原本は半紙本であろうか。
一応、翻刻したが、難読ヶ所もある。
 
 
 
 
漢にいはゆる竜眠の人物牧溪(もっけい)の山水なん
どおのおの傳たる霞ひとつふたつに過(すぎ)ず
爰(こゝ)に浮世繪のうきたる心地すれど江都
むらさきの染屋に軒を並ぶ 吾嬬ぶ里の
歌川何某松が根に筆を擲(すて)たるためしも
きかず 日本魂の丹青をぬきんでたれハ毛唐
人農下に立んこと難し さ禮バ韓大尉がとら
の月にハ日吉(ひえ)の山王を恵方と定め松齋か
 
 
梅見月にハ趙子昂のうまの日詣 卒翁の布袋
堂に嬰児をよ路古ばせ 隅田河農堤に
は趙昌が草木に月山の花鳥をうつし
蘇東坡が竹芝に山門の樓閣をよぢ驪山(めぐろ)
みちの眺望ハ閻士安が野景を添ふ 丁野
堂の菊月ハ神明の社領に蜀の薑(はじかミ)の市を
那し 陳所翁の金龍山に呉道子の觀音を
現して憲宗皇帝の孔雀茶亭をうつ寸
たぐひ すべて唐画も及ばぬ彩色をくハへて
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斧の柄(え)のくちをし加らぬ楚満(そま)人の戯言を
梓にせんと老を養ふ 甘泉堂の心をくミて
水莖の水もりに文鎮のひつミを正し 哥
番匠の墨縄をひく 新造作の二帖敷 手斧(てうな)
はしめ乃序文の板下にいろはつ希の
良材をえりて硯の礎を志かとすえるものハ
甲子の睦月 山陽堂
(雁註)
楚満人(1749-1807)(59) そまひと
山陽堂(1770s-1836c) また、生年は1760sか
*かなり漢文の素養がある人のようだ。
 
 
正月 恵方参 山王權現
御江戸▢一の鎮守にして氏子多し        ▢=第の草体
 
二月 初午参 
王子稲荷 當社ハ東國稲荷の惣社のはし参詣
 
 
三月 木母寺参り
梅若山王 前に角田川ながれて 堤ものさび見所多し
 
 
四月 釋迦参 三縁山
芝浦安房上總を見はらし 耳のもとに時鳥の聲多し
 
 
五月 目黒参 不動明王
餅花粟餅を土産とするなり
二 すしの飛泉に垢離(こり)とる人多し
 
 
六月 天王参 祇園會(ぎおんゑ)
大傳馬町 小舟町 中ばし 神輿(しんよ)を仮屋にゐれ奉る 
繪行燈(ゑあんどう)多し
 
 
花の春立阿し多よ里 加すミと共におのづから
人の心も のびやかに 山ハ櫻の花見つれ 濱ハ干
潟の貝ひろひ 埜邊ハ嫁菜につくし加里
柳手をのばせバ桃ハわ羅ひ 袷羽織うるさく
青傘 世に出て西よ東よ北よ南と 人足(あし)志▢きを
阿てにして屋臺見世に葦簀(よしず)引張 腰か▢二ツ
三ツなら邉 㡡(かや)のき禮亭張った蓋(ふた)をし尓▢ 飴
お古し加たくなつたくし柹(かき)ほそな加ひ薩摩芋
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四ツ宛さし多焼團子 長火鉢の加た脇に口の加▢
た登びんを能せてハ八十斗のぢいの居るを脇目
から見ると阿禮でも口過か出来る加と阿やしめ共
▢つかう人の絶間もなく四十位な田舎旅人に
六十斗な色の黒ひ達者そうな親仁と廿二三な
いきすぎた若い男は▢た菓子盆にのせたつゝ
き里なの茶碗のぬるこひ茶を飲(のみ)なから芝居好と
見へて男女藏や源之助が評判 なかでも久米
 
 
三郎ハ木挽町と堺町と引張だこ 阿んな役者ハ
むかしから有るまひといふを側に居る親仁
なにせなにせ おらが若い時にハ親柏延ハ言ふに
およばず 助高屋に菊次郎 富十郎か若盛 又
角力取ハ 源氏山に碇山 阿んな者ハ今時なひと きせ
るの吸売ばたばた はた▢ハ若ひ男むつとして いや
なんぼ昔のミそを阿でても雷電にハ かなふまひ
いやいや さふてなひ とせり合ふを 茶屋のぢいハ氣(き)の
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毒か里 是ハこれは おかひかたハ やくたひもなひ 阿らそひ
昔の役者も下手てもなく當時の役者も おとりハ
せず 其時々の氣(き)に合ふのが上手 なんぼ志道
軒が弁舌よこれが軽口でも 今の浮世でハ
覺束(おぼつか)なし 其證(しやう)こハ近頃のおとし噺
昔の人にハ落兼ませう 爰は一番 行司の預り
最う是ぎりにと 阿ひさつすれハ若ひ男ハふつ
くさと口のうちで いゝながら 茶代拂て立かへる 田舎の
 
旅人にハいつかう合点ゆかず もふ祢んとして居
た里しか例の親仁にむかひ わしハ遠國者にて
まへど京にや大坂ハ見物志たが満たお江都をバ知らぬ
故 今度遥々出ました国の土産にどふぞして
名所舊蹟 名物を悉(くハ)しく覺へて還里たし
教てたべと問か氣られ親仁むだむだ迷惑顔
茶やのぢいハ笑ひ出し わしハお江都に七十六年
住居ハすれど 只今迄 方角さへもさつぱり分らず
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其分らぬのか繁花の志やうことハいふ物の御望ならば
おほへたばか里を咄しませう 先御江都の名物
第一番が紫染女郎のいきじ 半太夫ふしと
河東ふし 唐まできこへし 團十郎 吾妻錦繪
紙 たば古入 なかい燈心 裏附せつた くつきわらじに
冷飯 草履 淺草海苔に 江都前 鰻 新塲
蛸に芝肴 鎌倉鰹に 羽根田の鯵 玉川 鮎
に千住の鮒 あら川 鯉に佃の白魚 芝雑魚
 
芝海老 金澤なまこ 業平蜆に四ツ谷わらび 中山
古んにゃく 伊皿子麩 鳴子の甘瓜 浮田の丸漬 青
山はだな赤山生姜 越ヶ谷餅 錺西の小松菜
砂村南瓜 岩附葱 草加の馬芋(くハい) 藤澤松露(せうろ)
神奈川かぶな 駒込茄子 行徳の干饂飩 千手の
大角豆(さゝけ) 鎌倉柴胡(さいこ) 杉田の梅干 練馬大根 松戸なす
に小金栗 砂むらなすハ駿河にまけず 二合半の新
米 土用に出る其外 所々の喰い物ハ塩瀬饅頭いく
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よ餅 淺草の大佛もち 柴神明の太々餅 金龍山の
阿さ草餅 高輪か馬餅 三田寺町の魚藍人形
町の鹿子もち 芝白銀の玉子餅 深川南町 鳫金
焼 筋違(すじかい)に三満一平(おたふく)餅 屋けん堀に両国餅 麹町に
助惣焼 飯倉片町おかめだんご 芝口にハか▢かつだん
ご 中通りに笹團子 くらまへ今津の柏餅 五十間道(けんミち)
白玉餅 目黒の粟餅 桐坐の飴 まる山かるやき 御所
おこし 南京落鳫 雙六煎餅 てりふり町に
 
仕切塲餅 永代團子 豊年餅 竹門の阿ぶ▢▢ 山
屋か豆腐 つぼやのあハ雪 亀屋のならちや ▢川
菜飯に 祢んぶつそば 正直そばに 七色ちやづ希
醴(阿まさけ)に汁粉餅 手打ち蕎麦ハ軒をならぶ サアおこらバ
ござれ 深川八幡 二軒茶や むかう嶋に阿らひ
鯉 王子のゑびや 下谷の濱田屋 古川の森月菴
ぎょらんのゑびすや 江戸橋のますや 中橋綿や 京橋
柴屋 新橋の佐倉屋 大和田うなぎに 鈴木の蒲
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焼 真崎田楽 すさきのざる楚ば 鈴木町の阿ん加希うんどん 両國の油揚 酒屋 親仁橋の芋酒
屋 水道橋の鯰のかばやき 中橋のおまん鮓(すし)吉原
の蛇の目鮓 壹(いつ)町に二三間の即席料理 山の手も
下町も 深川も淺草も 芝も麻布もすしの見
世に煮肴 屋たひ 夜も白晝の如く也 釣鐘の出來
合藏作りの如し 店(だな)大晦日に婚礼する者 阿れば
元日に旅人通る家根うらで 棹さす 屋形舟 縁(ゑん)
 
 
の下の座敷持 目玉の入かへ 鼻の継たし 白髪染
藥 上下入歯もはえ 藥に腎臓丹なんでも加で
も志ゆう自在 又江戸に名高き商人をあらあら
はなし申べし 次第不同ハ御免阿れ 呉服ミせ
にハ駿河町乃越後屋 日本橋の白木屋 尾張町
にハゑびすや かめやに ほていや 新橋にまつ坂や 傳馬
町大丸 麹町いわき満すや 馬喰町ハ藤井志▢や
本郷の伊豆藏 一統 長谷川町の阿ら木 いつとう
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つちやに 近江屋かしはや 沢の井大こくや 其外 酒は
内田 矢野 小西 鹿嶋 玉川 鴻の池 何(いづ)れも出見世 夥(おひたゝし)
豊嶋屋乃白酒ハせっく前に賣切レ高輪の牛ハ
新川に四斗樽(しとたる)を積のこす 味噌ハ角(かく)まつ 四方 小原
はらいせやに角伊勢屋 藥ハ芝の神明前 太好庵
の金粒丸 下谷仲町 錦袋圓 志は田まちのはんこん
丹 芝口のてれかんていこ 加うじ町の堤三臓 中橋
に實母散 おはり町に虎やのげとく 吉原の袖乃
 
 
梅 小児の藥ハ兩國の虎膽丸 無作りの黒藥 千村
きおうぐわん 千葉の丸薬 目藥ハ本郷のさゝや 本町(ほんちやう)
のくき加ハら希(け)町の入レのこし 歯ミ加きハ丁子や 喜左衛門
兼やす ゆうげん膏薬ハ四日市の三ツ干し 兩国のかぶと
三かひまつに 藤のまるばせをに 百疋(むかで)伽羅の油ハ両かへ町
に下村 山城神明まへに は那の露や 太好庵に竹下
丁子屋かうじ町か玉井 番太郎 すミよし町に まつもと
ほん所ハ満すや 阿さ草に百助(ひゃくすけ) 兩こくのいからし 鼻紙
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袋ハ まる角越(かくゑち)川邊にハ本町やなきや 玉や 白(はく)せつかう
ハ四谷 傳馬町 神田の豊嶋町 碇の鍛冶やハ佃嶌 なべ
釜ハ川口深川茅場町の傘 けほう 阿しだ地張きせる
に地か羅かミ 今戸のほうろく 小梅の瓦 よつやとんびに
若まつ 凧 おやじ橋の金臓(きんそう)獨樂(こま) 黒江町の蛤貝
淺草の加ミ屑 吉原のかんろ梅(ばい)さうしきのさつ▢さ 梅
三嶋町のお婦りこぶ さるやのやうじ 淺草の婦しの粉
堀江町のさらさ 團扇 青梅縞に 秩父きぬ 眞岡
 
 
木綿かづさのれん地 岩付さし旅 川越平
亀甲大の醤油ハ山十と値を阿らそひ 中橋の雁皮(かんひ)
紙ハうすやうより阿ざやかに稲毛のそうめん 三輪(みわ)より
ほそし ど古のいづくも芝神明まへ 本舛屋の
は加子 火打 木瓜(もつかう)屋のきりとつむ 打物請合名ごや
久次郎 されバ御當地の繁昌を大川の茶舟に
土手の四ツ手駕(かこ)四ツ谷の馬に大木戸の牛と よミた
れ共夫ハやつはり生物知り まだまだそんなこととてハなし
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加せ希(ぎ)ハ忽 地主とな里 遣(つか)へハ即座に▢子(おこも)となる
千両の商ひ 懐で手を打 弐尺壹文のはりか祢や
六文の羽織の紐て 渡世の出来るが きつひもの 外國異
国の珍物薬種至らずと言ふ事なし 諸国の霊
佛年々の御開帳 居なが羅おがむ かたじ希(け)なさ
なんとびつくり めさる々か 大婦ん(だいぶん)口がすゝなつた
一ツ婦(ぷ)く のんで咄しやせふ
 
 
 
 
 
 
 
七月 廿六夜(や) 高輪
今宵 高輪乃茶屋に男女あつまり月の出るまで唄ひ舞ふ 藝者多し
 
 
八月 八幡(まちまん)参 
富ヶ岡(とみがおか)の放生會(ほうしょうゑ)の氏子より奉るはし
山中の二軒茶屋 珍物をつくし生酔(なまよひ)多し
 
 
 
九月 生姜市(しょうがいち) 
芝神明ハ御江戸 第一の長祭 ちげ志やうがを賣な里 神燈(しんとう)てうちん多し
 
 
 
十月 大師参 
上野両大師 とりわけ當月ハ 御本坊へ為らせ給ふ 縁組さために御鬮(ミくし)とる人多し
 
 
霜月 御講(おこう)参 
東西本願寺 男女 花を餝(かさり)てさんけい 此時 同宗婚姻の見あひ多し
 
 
 
極月 年の市 
淺草金龍山にて 正月の物を賣る事(こと)年久し 昼夜おしあふての群集(ぐんじゅ)寶の市といゝつべし
商人(あきんと)金もふけ多し
 
 
言ハずと志れた事なれども 一年中をもふそう
な▢ 一夜(や)阿希(け)れハ若水 屠蘇酒 商人(あきんど)ハ扇賣
道中双六 宝舟 烏帽子きた大神楽(だいかぐら) 初もの詣(ま)ふで
ハ其年の阿きへ當(あた)里し神々への恵方参り 初寅
の日ハ芝金杉牛込の毘沙門天 夘の日ハ亀戸妙儀
山 三日上野の両大師 谷中 大黒寺の餅の湯 門(かど)萬
歳に鳥おひ そのあとの福 大黒春ゴマに鶴亀踊
禮者(れいしや)の ちど里阿しハ 目まで赤く年季者の
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棧とめハ 片袖光る獨活(うど)の聲 うるハしく拂ひ 扇
箱(ばこ)まんかちに 買歩行 吉原ハ女郎の年禮 初衣
裳 四日より大黒舞 八日ハ初の薬師なり 十日は
新田大明神 同月 虎の御門 金毘羅さま 十
一ハ藏ひらき 帳屋(ちやうや)の竹に鳶ハたま▢ 御遣(おやり)御免
の凧(いかのぼり)遣り羽子のこに 手まり唄 十四日 若餅年越
十五日ハ小豆粥(あづきかゆ) 十六日ハ閻魔満い里(り) 所々の山門
ひらくなり 奉公人のやどさがり 廿日 正月ゑびす
 
講 二十四日ハ愛宕まい里 廿五日圓光大師の御忌(ぎょき)
日にて浄土宗の寺々さん希(け)い 二十八日 不動の縁
日 此月亀戸の梅屋しき 金沢の杉田の梅
見 江都より遥々(はるばる)出(いづ)るなり 信濃ものハ三十(ミそか)
日き里
二月二日ハ灸(きう)すへ日 はつ午(むま)の稲荷まつり 王子
つまごひ いふに及ばず 町も屋しきも寺々も
おもひおもひの作り物 地口阿んどう このしろ油揚
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阿かの飯(いい)太鼓の音ハ雷のことし 百社まい里に
子供の寺入 社日の酒ハ聾(つんぼう)をひらく 八日ハ正月
事おさめ ひがん團子に祢はんの牡丹餅(ぼたもち) 二十
五日ハ天神忌 同廿日より尾張町十軒店(じつけんたな)の雛
の見世 ひがんまひ里ハ六阿ミだ は那見(なみ)ハ桃園
野べハ つミ草 津くし加り
三月ハ桃のせつ句 雛の遊ひの草餅 志ろ酒
五日 奉公人の出かは里時 佃品川の汐ひがり
 
 
 
八日 中山法華寺千部 十五日ハ梅若 十八日は
淺草寺の三社の神事 廿一日 深川八幡 山びらき
川崎の厄除(やくよけ)大師 廿三日ハ芝神明の太々(たいたい)神楽
池上本門寺千部 櫻ハ上野阿すかやま御殿
山 土手のさく羅に東婦く寺
四月は亀戸 佃の藤 牡丹やしきにつゝじの
見物 八日ハ釋迦の御たん生 夘の花 新茶に
鼻くそ餅 郭公(ほとゝぎす)ばか里でハなし 駕なすび
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かつほには祢のはへてとふ 江戸と面徳齋の狂哥
の如く筍(たけのこ)に蟵荷(かやに)の聲 杉の森に田中稲荷
のまつ里な里 十七日ハ増上寺 黒ほんぞんの
さん希(け)い御免
五月 端午の節句とて のぼ里 かぶとに菖蒲太
刀(たち)粽(ちまき)さゝまき 柏餅 家々に菖蒲をふき 藥の露
を請るなり 此日 府中の御田植え 目黒大鳥に
角力有 六日ハ菖蒲湯 さて 入梅(つゆ)明の初雷(はつかミなり)日和に
 
 
 
なれバ蒼木賣ハ引込て鮒や目高に 簾(すだれ)賣(うり)
六月朔日 男女ともニ頭痛の咒(まじなひ) すり鉢か婦(ぶ)つて
灸すへる 此日 駒込 冨士参り 三日は芝かハら希(け)町
の熊野乃まつ里 七日 祇園の天王まつ里
中橋に小舩町 大傳馬町かりや立 神田明神
希(け)へなひより 神輿(しんよ)をかき入奉る 其外 蔵前
四ッ谷と千住 品川な里 十四日ハ本所の香取祭に
十五日ハ山王の御祭禮 氷川明神とかく年なり
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十六日ハ嘉祥(かじやう)喰(くひ) 廿四ハ阿たご山 四萬六千日
青ほうづきを丸にて飲めハ無視と積(しゃく)との根をきる
よし 廿五日ハ亀戸の天神まつ里 廿八日ハ両国
夜見世の始り 勇涼冷(やうすゝミ)の▢(やかた)舟 たまや かぎやの大
花火 土用の入にハ餅と油揚 處と宮寺に土
用干 寶物の内拝阿里 廿七日 石尊のはつ山
商人(あきんど)ハ團扇賣 枇杷葉湯(びわやうとう)白玉餅 和中散 心太
篭入の里芋 納 太刀に冷水うり本山瓜に本なれ
 
西瓜 水無月祓盆ちやうちんの初な里
七月よし原燈籠見物 七日 牽牛織女の祭り
ひやむぎ 井戸がへ ひやそうめん 十日 観音 四萬
六千日 十三日 若一王子の神事ならびに草市精
霊(しやうれう)まつ里 冨士同者に石尊盆山 十六日の齋(さい)
日ハ正月と同じ事 五百羅漢の大施我鬼ハ三
十日(ミそか)まで 廿六夜は高輪群集
八月朔日 布施弁天の角力 此日 吉原女郎 白
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小袖の道中なり 萩の盛りハ本所の萩
寺ひがんまい里ハ二月とお那じ 十五日 放
生會(ほうしやうゑ)所々八幡の祭礼 月見の團子 二十四日
藤沢の開山忌 此頃より吉原の俄
九月 重陽 菊の酒 三田の春日のまつ里 十二日は
片瀬の祖師 十三日ハ後の月見 十五日ハ神田
明神御祭礼 山王とかく年な里 渋谷の菊
見十一日より芝神明の生姜(せうか)市 廿八日 目黒の群
 
 
集 赤蜻蜓 新蕎麦 新酒 足袋 砧甘干さん
またゝきまつとう 此月 海晏寺 正燈寺 紅葉見
十月上野の両大師御本坊に御入阿ある 十日は
矢口の新田の祭 虎の御門の金毘羅参り 六日
より寺々十夜十三日ハ 日蓮宗のおゑしきな里
廿八日 麻布山の報恩講 亥の日 爐開 玄猪の餅 廿日
夷講 正月よりも賑(にきや)かなり 信濃者の炭賣來る
入かは里 役者附下りの乗こミ 卅日ハ積物
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霜月朔日(ついたち)顔見世きやう希(げ)ん 酉の日 千住の酉の町 冬
至ハ周の正月とて儒者醫者 是をいはふな里 法印
ハ星祭 六日 善福寺の笹團子 八日 鍛冶やの婦いご
まつり 十五日ハ 七五三のいはいの子供の産土神さん希(け)い
おん志やく河豚せきぞろ されば 山陽堂の狂哥
世の中ハ 猫も杓子も飯櫃(めしびつ)も こたつへはいる冬ぞ寒けき
十二月朔日ハ 乙子の餅 八日 正月の事はじめ 十三日ハ
 
 
煤はらひ としの市ハ淺草くわんおん 芝阿たご又
近年ハ神田の明神 深川八幡 芝神明 平河天神にて
も市をなす 廿日頃より餅をつく年越年越の氏
神まい里 家々に松かざり 厄払ひに太神楽(だいかぐら)
木賣(おけらうり)の聲ハせねど 梅干婦く豆 福山椒 鱠(なます)大根
馬附牛蒡(ごぼう)歯ぬけ親仁が よび聲ハいとおかしく
晦日(みそか)ハ王子の年こもり 此外 常のまいり所ハ羽田
の弁天 古川薬師 矢口の新田 碑文谷仁王 奥
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沢の九品佛(ほんぶつ) 目黒ちんご 蛸薬師 祐天寺 幡ヶ谷
不動志婦(ぶ)やの金王(こんわう)長谷寺くわんおん 仙壽院の
庭 龍岸寺の松 千駄ケ谷の八幡 よつや十二艘(そう)
水稲荷 堀の内の祖師 音羽の護國寺雑子(ぞうし)
ヶ谷(や)の鬼子母神 川口の善光寺 三川しまの
不動 日くらしのすわ鏡か池に まつさきいなり
梅若 山王 白髭明神 牛御前 三圍(めくり)秋葉 柳
嶋妙見 吾妻の森 半田いなりに 平井の聖天(せうでん)
 
和歌に讀しハ武蔵野 堀兼 霞か関 玉川の里 荒藺崎(あらいかせき)の
笠嶋 向か岡に 双か岡(ならぶかおか) 待乳山(まつちやま)に 忍か岡 隅田川の都鳥 梶
原(かぢはら)か里 関屋の里 満々の継橋 手児奈の社 岡野辺の
待つハかつ志か郡(こほり) 一本すきハ金杉橋 綱ハ武蔵野 三田生れ
公時(きんとき)屋しきハ 烏森 渋谷の金王(こんわう)稲毛の三郎 秩父の重忠
熊谷直実 いづれも むさしの剛の者 二三年かゝつても 皆迄ハミられ
まひ 夫を具(つぶさに)覚へよふとハ おかへもの阿んま里 むしが いゝとかそへ 立くれ
彼旅人なんともいはずに口(くち)阿んこ里
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歌川一柳齋豊廣画
南杣笑楚満人戲言
剞劂氏 山口清藏 *きけつ(彫り)
 
(雁註)後編・繪本東童郎 来春出版 二冊 *これは出版されなかったようだ
 
 

何か御気付きの点があれば、御教示ください。

酒井 雁高(がんこう) 学芸員 curator 浮世絵鑑定家

1982-04-29現在(2021-03-03) 浮世絵学:ukiyo-e study  浮世絵鑑定(肉筆浮世絵、錦絵):judge

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

酒井 雁高(がんこう)(浮世絵・酒井好古堂主人) *学芸員 *浮世絵鑑定家  Phone 03-3591-4678(東京・有楽町)

酒井 邦男(くにお)  酒井好古堂・副代表    *学芸員     *浮世絵鑑定家

100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14(東京・有楽町 帝国ホテルタワー前)日本最古の浮世絵専門店

 


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