浮世絵学04/外題(浮世絵尽くし)2020横山実(1943- )/浮世絵尽くし *浮世絵学研究史(明治、大正、昭和) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/56161
ホーム > 浮世絵学04/外題(浮世絵尽くし)2020横山実(1943- )/浮世絵尽くし *浮世絵学研究史(明治、大正、昭和) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/56161

浮世絵学04/外題(浮世絵尽くし)2020横山実(1943- )/浮世絵尽くし *浮世絵学研究史(明治、大正、昭和) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/56161

1982-04-29現在(2022-11-11更新)

浮世絵学:ukiyo-e study  浮世絵鑑定(肉筆浮世絵、錦絵):judge

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

酒井 雁高(がんこう)(浮世絵・酒井好古堂主人)

*学芸員 *浮世絵鑑定家 📞 Phone 03-3591-4678(東京・有楽町)

酒井 邦男(くにお)  酒井好古堂・副代表    *学芸員     *浮世絵鑑定家

100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14(東京・有楽町 帝国ホテルタワー前) 

日本最古の浮世絵専門店

1803葵衛(齋藤秋圃)/葵氏艶譜


ALL浮世絵学 記事一覧    All articles and images of Ukiyo-eGaku

http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/edit.php       記事一覧

————————————————————————————————————————

G浮世絵学00 御案内 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)  Guide

http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/post.php?post=88214&action=edit&classic-editor

———————————————————————————————————————–

R浮世絵学00/複製・復刻 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂) Copy and Handmade reproduction 

http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/post.php?post=88211&action=edit&classic-editor

———————————————————————————————————————–

V浮世絵学 ミニ動画     Mini-film, about 5 minutes 

http://www.ukiyo-e.co.jp/92533     浮世絵学 ミニ動画 各種 

 


*1946、私、酒井雁高(がんこう)、(戸籍名、信夫のぶお)は、酒井藤吉、酒井十九子の次男として生まれた。生まれた時から、浮世絵に囲まれ、浮世絵博物館に組み込まれていたように思う。1966、兄・正一(しょういち)が冬山のスキー事故で死亡。いきなり、私に役目が廻ってきた。それにしても、子供が先に亡くなるとは、両親の悲しみは察して、余りある。母は、閉じこもったきり、黙ったままの父に、何も話すことが出来なかったという。

*1967、私は大学の経済学部を卒業し、すぐ文学部国文科へ学士入学。何とか、源氏物語など、各種日本文学、江戸文学も多少、学ぶことが出来、変体仮名なども読めるようになった。http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/edit-comments.php

*1982年以来、浮世絵博物館と一緒に過ごしてきた。博物館が女房替わりをしてくれたのかも知れない。

*それでは子供、というと、これら浮世絵学、1,211項目であろうか。一所(浮世絵学)懸命、学問としての浮世絵学を成長させてきたつもりである。今後も、御支援、御指導を賜りたい。2021-06-20酒井雁高・識

—————————————————————————————————————————–

日本で最古の浮世絵専門店。幕末の開明思想家・佐久間象山(1811-1864)(しょうざん)が、酒井義好(1810-1869)*よしたか の書齋を「好古堂」と命名しました。1982、酒井藤吉(とうきち)・十九子(とくこ)、酒井貞助(ていすけ)・富美江(ふみえ)、酒井泉三郎(せんざぶろう)・美代子(みよこ)らは、好古堂蒐集品を基として、父祖の地、松本市郊外に、日本浮世絵博物館を創立しました。

父・藤吉が亡くなってから、酒井信夫・雁高(がんこう)、そして酒井邦男が継承し、世界各地で65回の浮世絵展覧会を開催して今日に至っています。皆様のご指導ご鞭撻を御願い致します。

http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/edit.php       記事一覧

 *Sakai Kohkodou Gallery  酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) Japanese Traditional Woodblock Prints  

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

2022 SAKAI, gankow   酒井雁高

 

2018 SAKAI gankow

 

2020 SAKAI kunio

 

 
*ファックス、使えません。
 
 

———————————————————————————————————————————

2020横山実/浮世絵尽くし 横山実の浮世絵随筆集  

*(雁註)尽し、この語句の方が良い。尽くしのため、尽しで、検索しても出来ないことがあった。

(雁註)目次がないので、目次を作る 括弧はページ 

*合わせて、僭越ながら、今日までの浮世絵学研究史、特に研究者、収集家、背景、状況、検索についても述べた。特に明治期、大正期、昭和期の先達の研究者、収集家を生年順に整理した。ネットで何方かが、後半の二編(偽筆)推理小説のように面白いと書いていた。

http://www.ukiyo-e.co.jp/62236 浮世絵学04/外題(平木コレクション)1970-1971月報1-20 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

*平木コレクションは京都の松喜善右衛門コレクションと三原繁吉コレクションを購入。全6,000点であるが、まだ総目録はない。

國學院大學法学部 横山実ゼミのホームページ  *ここに各種、表示される

https://www2.kokugakuin.ac.jp/zyokoym/

浮世絵についての随筆

 

北斎の肉筆画「隅田川両岸景色図巻」は偽筆か?(1)
北斎の肉筆画「隅田川両岸景色図巻」は偽筆か?(2)
鳥居忠雅が描いた九代目市川團十郎の絵の謎解
「浮世柄比翼稲妻」の「鞘当」
浮世絵との出会い(1)
浮世絵との出会い(2)
歌麿の肉筆画三部作「品川の月」は本物か
歌麿の肉筆画三部作「吉原の花」は本物か
歌麿の肉筆画三部作「深川の雪」は本物か
浮世絵の世界への誘い
江戸時代初期の謎の絵巻物
岩佐又兵衛は、浮世絵の元祖として蘇るか
円山応挙と眼鏡絵
春信の絵の落款
浮世絵師歌麿の盛衰

 

///浮世絵学*9bib/ 浮世絵書誌、出典 Bibliography, reference books, illustrated catalog … 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/1014

///浮世絵学07/出典 日本美術編 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/5825

浮世絵について、下記を参照して下さい

1997酒井雁高/浮世絵学、日本浮世絵学会、日本浮世絵博物館  *全国の主要図書館で御覧になれます。また古書などでも売りに出ています。

(雁註)一朝一夕になる論文ではなく、長い間、収集、研究を重ねた結果、その精髄がカラー版で納められています。40年以上前の記事も確認しました。これは誰にでも出来ることではありません。横山実先生の学問に対する真摯な態度が全編に表われています。先生の人柄で、多くの教授、研究者らと協議を重ねて、論考を深めています。一人でも多く、この論文集を御覧いただき、ご熟読いただくことを希望します。

(横山) *括弧内の数字はページ

大島信久さんからの誘いによる浮世絵講演会(2-3)

 講演会 三夜連続 浮世絵尽し

 1 歌麿までの美人画 2020-06-12(金) 午後7時開演

 2 爛熟期以降の美人画 2020-06-13(土) 午後7時開演

 3 浮世絵風景画 2020-06-14(日) 午後7時開演

(雁註)横山実と大島信久は、中央大学・昭和42年(1967)卒の同期生 パワーポイントを使い、歌麿?深川の雪? 偽筆を裏付ける

河鍋暁斎の絵との出会い(4-5)

 楢崎宗重(1904-2001)先生は箱書で年月日、名前・楢崎宗重識 *これは真筆の意でなく、単に見たという意です。

 肉筆浮世絵 暁齋(画)/天狗の面を被った酔った男と押さえる女性図  *落款が正確に分からない

 肉筆浮世絵 暁齋(画)/鬼が筆と硯を持って天空を奔り、硯箱を蹴飛ばす図 *落款が正確に分からない

//浮世絵学01/落款(暁齋、狂齋)きょうさい 2020暁齋/総目録 199項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21669

・浮世絵鑑賞と私(6-7)

横山)「絵は頭で考えるものではなく、自分の生活体験を豊かにして、自分の心で感じ楽しむもの」

//浮世絵学01/落款(豊國1)とよくに1 2020豊國1/総目録 1,980項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂) *無外題、無版元、無内題のものが相当数ある。

http://www.ukiyo-e.co.jp/21527

・浮世絵との出会い(8-10)

 永谷園のお茶漬け海苔、これらの原画は日本浮世絵保存会(日本浮世絵博物館の前身)所蔵。これで永谷園は一躍、有名になりました。

 1979.12.07 北齋/冨嶽三十六景・御厩川岸より両国橋夕陽見(酒井好古堂で購入)*博物館建設資金に協力

(雁註)ありがとうございました。何とか、皆様の御支援で、日本浮世絵博物館が創立できました。後と、これを学術面でも、多方面の学問を動員、綜合して、健全に運営していくことが課題です。

 1991酒井雁高/北齋(資料集成、年表)、秋田市立千秋美術館 日本浮世絵学会

  横山実先生は、河野元昭(東京大学名誉教授)と同級

 1962.10 東京オリンピック リッカーミシン 浮世絵展

 1972 リッカーミシン本社ビル(佐藤光信)  浮世絵常設の美術館  1993倒産 水島廣雄が引き継ぐ 横浜そごうデパートで継続

 1997 諏訪春雄(1934- )、学生三人、横山実の自宅(川崎在)を訪問

  *師弟関係の柵(しがらみ)があると聴き及ぶ *諏訪は東京大学・守随憲治門下で演劇の専門家

 2006.10 江東区豊洲に展示場所を開設 2013.03閉館

 *浮世絵の権威、先生方は、真筆のお墨付きを与えて、自分の権威を高めようとしている。

 また、偽作を真筆と間違えて鑑定しても、頬かむりしている。学問以前の問題である。

 2008.8.04 写楽の肉筆扇面(ギリシャで発見) *これは明らかな偽筆 ある人に云わせると、この扇面で偽筆が堂々と展示されるようになってしまった。

・「錦絵の誕生」展のエピソード11-12)

 1996.06 02.19内覧会開催 小林忠先生は「頑迷(がんめい)固陋(ころう)」で、「睨まれたら、浮世絵関係の仕事で生きていけない。

(雁註)これではコバチュウ先生も、まるで蛇のようで、立つ瀬がありませんね。展示の場合、浮世絵学に沿って、落款:無款 とすれば良いのです。無款で、絵師を特定できない(春信)ことを説明すれば、良かったと思います。そうすれば、横山先生も納得したことと思われます。展示品を外すことは少し、酷いような気がします。

(雁註)小林忠、通稱コバチュウ。東京大学出身で、東博(東京国立博物館)で菊地貞夫先生らの指導を受ける。コバチュウは、学習院でこれまでの楢崎宗重ほか明治期の学者の美辞麗句を廃し、浮世絵を分かり易く、現代的に解説し、普及に勤めた。これは大きな業績である。

 当時、男色なんしょく)は芳町(よしちょう)あたりの陰間(かげま)茶屋で盛んで、若い売れっ子役者は両刀使いでした。

 1687(貞享4)西鶴/男色大鑑(なんしょくおおかがみ)という本も出回っていました。もともと、真言密教など女人禁制の寺院で、盛ん。若い12-13歳の男の子、小姓あがりが相手をしました。

 1136-1155(保延2-久寿2)平安朝、左大臣・藤原頼長(1120-1156)/台記(たいき)、男色(なんしょく)の日記として著名

 また、藤懸静也(1881-1958)、渋井清(1899 – 1992)、楢崎宗重(1904-2001)、近藤市太郎(1910-1961)、菊地貞夫(1924-2001)など大学機関の方々が指導にあたるように移行した。

 しかし、もともと浮世絵は、市井で醸成された。民間の私塾で学んだ人々が多かった。宮武外骨(大阪此花)、朝倉無声(東京此花)、酒井庄吉(好古堂版・雑誌浮世絵)、相塲七二(錦絵)、井上和雄(浮世絵之研究)、小島烏水ほか(浮世絵志)、坂戸哲舟(浮世絵芸術1)、藤懸静也(浮世絵界)、鈴木実(季刊浮世絵)、宮尾しげを(浮世絵芸術2)

————————————————————————————————————————————————–

 1915(大正4)好古堂版・雑誌浮世絵は、当時の錚々たる研究者を網羅し、浮世絵学の基礎を記録し、全55冊を編纂した。

[1941大曲駒村/浮世繪類考0a/01-06]

 浮世繪類考  全              小 島 烏 水 識 [大曲 駒村]

                序

 大正四年夏、余は酒井好古堂主人と相咨り、雜誌「浮世繪」を同堂より發行し、余自ら暫く編輯の任に當りたることあり。當時「浮世繪」に寄稿を賜はりたる故人今人は、殆ど斯道の権威を網羅したりと言ふも過ぎたりとは考へず、殊に故人に就いて言へば、

大槻如電、坪内逍遥、林若樹、橋口五葉、内藤鳴雪、淡島寒月、朝倉無聲、岡野知十、武岡豊太、野崎左文、關根默庵、星野朝陽、油井夫山、山中共古等の諸先生を舉ぐべく、微々たる薄名の小雜誌としては、空前の光輝として、出版と編輯に携はりたる者の、感謝に堪へざるところなりき。就中、林若樹氏は、最も多く寄稿せられたるが、さすがに珍藏の資料豊富なりしためか、今に及んで忘れ得ざる名篇尠からず、その最も重要なるものを選べば「浮世繪類考の底本を作れ」の一文と爲す。

要旨を摘記すれば、從來浮世繪を研究するに際し、畫工の傳記、系統、批判等に亘れる唯一の參考書たりし浮世繪類考の著者に就いて二説あり。即ち笹屋新七(邦教)なる者が、類考の本文を撰し、附録として同人の始系を追加せりと言ふ説と、類考の本文は、大田蜀山の原撰にして、附録の浮世繪始系のみが、笹屋新七の編となす説と、並び行はる。同氏家藏の加藤曳尾庵が手抄せし浮世繪類考の跋文に依れば、蜀山人藏本を借摸したるものにて、類考が蜀山人の原撰なることを明らかにし、尚ほ最初の浮世繪類考より、京傳の追考、三馬の補記、英泉の續浮世繪類考(私註、本書は无名翁随筆の別名あり、明治四十年刊行の、燕石十種第二編に収む)齋藤月岑の増補浮世繪類考(私註、明治二十四年刊行、温知叢書第四編に収む)龍田舎秋錦の新増補浮世繪類考(私註、明治二十二年に、單行本として刊行せらる)に至る迄の間には、各人の補記混淆して、其間に脱文あり、誤記あり、彼此錯雜して判別に苦しむ。例へば、前述曳尾庵手寫本を以て、新増補浮世繪類考と比較するに、後者は誤謬多く一筆齋文調を、狂歌師岸文笑別名頭の光と混合し、寫樂の條には、他の流布本が、舉つて寫樂の行はれざりし所以を、俳優の眞實相を描かんと有らぬさまに寫したるに歸因せるに對し、寫樂筆力の雅趣愛すべきあるを認めたる、鑒要なる一行の追加ある如き相違あり、差し當り、從來唯一の引用書とせられたる浮世繪類考を、その原撰、曳尾庵の補記、京傳の追考、三馬補記等及びその他の新出本に至るまで、各本の底本を作ること、最も必要なりと信じ、茲に同好者に檄すと言ふにあり。

此一文は、洵に故人の卓見にして、類考の原撰者笹屋邦教説を打破し、大田蜀山と確定したる業蹟は、必ずしも故人の説を以て、最初のものとなすを得ざれども、底本問題の提唱は、浮世繪研究者の間に、大なる關心を喚起して、爾來今日に至るまで、浮世繪類考の善本を獲ることは、研究者間の忽せにせざる所なり。

偶ま、昭和七年に、島田筑波氏校訂浮世繪類考曳尾庵本が、孚水畫房より翻刻せられしも、本書は三田村鳶魚氏が、昭和二年九月一日の午後、林若樹氏の藏本を借り、即夜寫畢せられたるものに依りたるものにして、三田村氏の寫本は、時間の制限上、充分校合の暇無かりしが如く、往々誤寫ある旨を、校訂者自らが指摘せり。即ちこの翻刻曳尾庵本は、原書よりの直接謄寫に非ざる上に、他の類考本を參考して聚合したるが故に、假令曳尾庵本の寫本を主としたるに相違なしとするも、是を以て直ちに曳尾庵本の正寫と言ふを得ず。

次に、善本として酉山堂本なるもの、世に傳へらる。狩野亨吉博士、三田村鳶魚氏等の藏本なりと云ふ。余は未だその原書を閲覧せずと雖も「酉山堂浮世繪類考」と題する寫本を獲て、一見するに、これにも誤寫ありて安心ならず。例へば歌麿の住所に「久石三ノ町」とあれど、正しくは久右衛門町なるべく、又七十翁蜀山人の跋記の後に「右進産山東京傳手書本」とあれども、進産は追考の誤寫なること、言を俟たず。本書は、筆者の手蹟、美事にして、字劃も、いと明晰に、寫本としては理想に近し。且つ、上述の孚水ぶんこ浮世繪類考に、挿圖として挿入せられたる酉山堂本の一枚と對照するに筆蹟は正に同一にして、孰れが原本、孰れが寫本なるかの區別に苦しむ、即ち同一人の筆寫に出でたるものにして、無責任なる當推量の筆耕とは考へられず。換言すれば、原本通りを、忠實に寫したるものと信ぜられるだけに、酉山堂原本なるものゝ正確性に就いて、一點の疑ひなしとせず。

思ふに「浮世繪類考」の善本としては、蜀山の自筆本、或はその舊藏本に依らざる可らざるものならむが、余は未だ蜀山が、果して類考、附録、追考等の三部を纏めて、その全部又は一部を自筆したるものなりやを審らかにせず。舊藏本にしても、年月の隔たりは、その存否、又は眞贋を明白にするに惱まざるを得ず。要するに、浮世繪類考は、結局寫本に依らざるべからず。寫本なるものは、傳寫に次ぐに傳寫を以てし、その間、時代の推移に從つて増補を加へられ、粗より密に入る傾向あり。それも、正確の資料に據りたるものならば、却って嘉(よ)みすべきものならむも、あられもなき道聽塗説などを書き加へ、(例へば二代豊國が、恩師初代豊國の寡婦に入夫して、二代目の名を冐せりといふが如き、弱冠薄命の故人をして、久しく地下に冤(えん)を泣かしむ)又寫字の上にも、魯魚の誤を重ね、玉石混淆の鵺本となりたるもの、比々皆然りと言ふも過言に非ず。

余は浮世繪類考の研究者にあらず。然れども、往々古書展覧會及びその他に於て、觸目の類考寫本を入手することあり、おのづから貧弱なる一蒐集を成せり。その中、藏因の判明せるものを拾へば、曰く椎園本(椎園は、蜂屋茂橘の號なり、天保年間の人、寫本椎の實筆九十巻あり、帝國圖書館に藏せらると聞く)故角田竹冷の藏本にして「竹冷挿架」なる長方形の朱印あり、本文の鼈頭(べっとう)に、椎園の書き入れあり、跋文に言ふ、「右一本旦過■(草冠+合+廾)主人藏書を借模す、南畝翁所藏の原本を模せしもの也と主人言へり、天保五年甲午夏椎園」と。曰く野中本、跋文の後に、天保十三年壬寅五月、蘭女史寫とあり、野中完一といへる人の藏印あり。曰く仙寓庵本、天保十二年八月百樹京山方にて、藏書借受寫者也とあり、伊香保仙寓庵の藏印あり。曰く森文庫藏本、文久三癸亥季仲冬石川一正寫之とあり。曰く林忠正藏本、押印あり、序文に柳亭種彦記、跋文に「山東百樹翁が編せし類考に、おのれ、僅見聞にふれて、一ツ二ツを書加へしのみ、尚同志の補正を乞、明治十三年一月柳亭主人」とあれど、柳亭種彦の名に就いては疑惑あり、百樹翁とは京傳の弟、山東京山のことにして、京山自編の類考本ありとは考へられざれど、本文中には、新増補の採るべきものあり、一概に捨てられず。其他の諸寫本には、藏印なく、特に記すべきものなし。外に、飯島虚心の浮世繪年表あり、扉に明治二十四年十月虚心堂として、花押めきたるものあり、浮世繪年表と大書すれど、自筆なるや否やを知らず、明治の浮世繪師までを補筆す。多少の新發見あれど、誤謬なお亦存す。以上の諸寫本は、要するに天保以後のものにして、新増補本の參考としては用ふべし、浮世繪類考の底本としては推すを得ず。

最も善き底本を作る方法如何。須らく諸家愛藏の浮世繪類考善本を、翻刻又は忠實なる寫本に複製して世に弘布すべし。而して彼是對校檢討の勞を執るべし。前述の孚水ぶんこ曳尾庵本、及び寫本酉山堂本の如きは、恐らくはこの要求に應じて立てるものなるべし。

今茲に、友人大曲駒村君は、川柳研究家の第一人者にして、又浮世繪研究の先覺者なり。浮世繪類考の底本問題に潜心すること多年にして、君に愛玩の二善本あり。同君執筆の文中に述べられる如く、松平確堂公の舊藏本、及び荒尾本の二部とす。同君は、その中の松平本を選び、底本の一種として、敢然翻刻の擧に出でらる。勞多くして功少なきは、この種の刊行者が、經驗するところなれど、それをしも、忍ぶに非ざれば、研鑽の途開けざるなり、同君の勇敬すべし。

問題は、君自ら言へる如く、本書が果して底本たり得る程の善本なるや否やに在り。把つて一讀、二讀、三讀、大曲君幸ひに眼識あり、從來の諸刊行本、及び信用さるべき傳寫本の間に介在して、善本を以て呼ばるゝに躊躇せず。今のところ、何の浮世繪類公か、是れ最善本なるやを決定し能はざるに於て、最も優良なる一本なるを疑はず。

現今、浮世繪の研究大に進みたるは、曩日の談に非ず。然れども、浮世繪研究書の祖先本「類考」の底本を完成せずしては、根柢に空虚を感ずるを奈何。大曲君の、松平本を提げて立つや、宜矣(むべなり)。

  昭和十三年歳末

                   小 島 烏 水  識

(雁註)故人であるが、生没年順に整理した。基本的に浮世絵の第一級資料は、これら、明治、大正、昭和期の研究者の業績から得ている。

特に関東大震災前の記録を保存してあり、その後の研究の土台を造った。1977酒井雁高/浮世絵学、日本浮世絵学会、日本浮世絵博物館

大槻如電(1845-1931)、

内藤鳴雪(1847-1926)、

山中共古(1850-1928)、

野崎左文(1858-1935)、狂歌

淡島寒月(1859-1926)、

坪内逍遥(1859-1935)、

岡野知十(1860-1932)、         

森 鷗外(1862-1922)

關根默庵(1863-1923)、

武岡豊太(1864-1931)、

宮武外骨(1867-1955)、此花(大阪)   

夏目漱石(1867-1916)

幸田露伴(1867-1947) 

齋藤緑雨(1867-1904)

 尾崎紅葉(1868-1903)

星野朝陽(1870s-1940s)、                                  

笹川臨風(1870-1949) 

三田村鳶魚(1870-1952)、鳶魚、本名は玄龍。こちらの方が雅号めいている

国木田独歩(1871-1908)

小島烏水(1873-1948)、横浜正金銀行、浮世絵収集(廣重ほか)、登山家 

高浜虚子(1874-1959)

林  若樹(1875-1938)、本名は若吉  明治天皇の侍医、林研海の息子

三村竹清(1876-1953)、

朝倉無聲(1877-1927)、此花(東京)

酒井庄吉(1878-1942)、雑誌浮世絵(好古堂版)(全55)    

永井荷風(1879-1959)

橋口五葉(1881-1921)、

小山内薫(1881-1928)

大曲駒村(1882-1943)、

油井夫山(1884-1934)、

高橋誠一郎(1884-1982) *日本浮世絵博物館設立賛同者

井上和雄(1889-1946) 浮世絵研究家、好古堂の学術誌・浮世絵を編輯

森 銑三(1895-1985) *日本浮世絵博物館設立賛同者

守随憲治(1899-1983) *日本浮世絵博物館設立賛同者

渋井 清(1899-1992)

楢崎宗重(1904-2001) 立正大学、文学博士

暉峻康隆(1908-2001) *日本浮世絵博物館設立賛同者

近藤市太郎(1910-1961) 東京帝室博物館

鈴木 進(1911-2008) 美術史家

川村博通(1912-1980) *日本浮世絵博物館設立賛同者

岡畏三郎(1914 – 2010) 美術史家

ハリー・パッカード(1919- )

菊地貞夫(1924-2019?)

1914 – 20101931井上和雄/浮世絵師傳、渡辺版画店 浮世絵師の伝記は、殆ど好古堂/雑誌浮世絵から引用している。

その他、浮世絵師の伝記

//浮世絵学*3ur/1941小島烏水(1873-1948)/浮世絵類考(序文)9849項目 落款、五十音 Biography of ukiyo-e artists  酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/1783      *1941大曲駒村/浮世絵類考 序文

//浮世絵学01/落款(画号ほか)伝記_総目録 浮世絵類考(うきよえるいこう)9848項目 五十音 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/1016

高輪プリンスホテルでの江戸の浮世絵展(13-16)

 2002夏 國學院大学120周年記念事業 江戸の浮世絵 宇梶輝良・理事長

 カンバセルス(1753-1824) 1789のフランス革命、3年後に刑事裁判所長となる 1816王政復古で、追放され、晩年は寂しかった

 浮絵(うきえ) 眼鏡絵(めがねえ)

 1878パリ万国博覧会 林忠正が事務総長を勤め、ゴンクールなどフランス文化人らに日本文化、浮世絵の解説

 これは伊東博文を夜のパリに案内したので、いきなり民間の林が総長に任命された。自分たちが総長になり権限を握れると思った官僚は、すぐさま、林を落とし入れようと悪口を書きまくる。賂も一切、受付けなかったので、官僚も手を焼いた。

(雁註)木々康子/陽はまた昇る *木々(きき)は林のモジリ。官僚の林に対する悪口は酷いものである。

 ゴンクールは、林の史料により、歌麿(1891)、日本の美術(1893)、北齋(1891-1896)を発刊した。

 柱絵が高く評価された。極めて細長い紙、柱かくし、制限の中で人物、花鳥を描いている。

1991酒井雁高/北齋(資料集成、年表)、秋田市立千秋美術館 日本浮世絵学会

高輪プリンスホテルでの正月の展示(17)

 2202.12 正月の展示

日比谷高校・昭和37年卒・同期会での展示(18-19) 浮世絵の世界への誘い

 北齋、廣重、深水などを展示

國學院大学 第3回ホームカミングデー(20-22)

浮世絵に描かれている水ー廣重と國芳の名品を中心に(國學院大学博物館)(23)

 2016.7-20-8.05 及川茂から藤沢紫へ。明治期の浮世絵の良さを改めて認識

 1994酒井雁高/廣重(資料集成、年表)、岡山城天守閣、日本浮世絵学会

浮世絵の授業と講演(24)

 横山)パワーポイントを修得

 1 國學院大学華道学術講座

 2 外国人留学生対象の英語による授業

千葉古文書会公開講座 浮世絵に挿入された文字ー春信の美人画を中心に見る(25-27)

北齋(ほくさゐ)/風流おどけ百句 色事に* 土手で逢ふのハ百年目 *尓(に)

2020北齋(ほくさゐ)/風流おどけ百句

*残念なことに25句しか判明していない

 2015.8.29 千葉市民会館 横山)本職は犯罪社会学 刑事政策

 春信は大小(だいしょう)の絵を描く 絵暦(えごよみ)という術語は存在せず、大小(だいしょう)が正しい術語。

 //浮世絵学/(支那學・暦法) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/660

東海道57次の蒲原の宿とその周辺(28-30)

 2011.1.24

 2012志田威/東海道57次、紀伊国屋書店 日比谷高校の同期生 生家は蒲原の醤油醸造業

 (雁註)しかし記録(書物)に東海道五十七次と書かれてものが見たことがありません。

 2016.3.27 東海道のツアー

木曾街道の中津川(31-32)

 2017.12.9 第一回東海道五十七次交流会 蒲原、東海道町民生活歴史館

 2018.2.3 関西非行問題研究会 横山)少年法適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げることに反対してきました。

 恵那、中山道廣重美術館 田中春雄の寄贈 *田中は中央大学の先輩

齋藤文夫先生との縁(33-34)

 2001.5.01-06 JR川崎駅の横のホールで浮世絵展 東海道宿駅制定400周年記念

 横山)父は川崎市初代助役

 2019.12.02 川崎浮世絵ギャラリー開所式

専修大学での講義(35)

 板坂則子 *ボストンの板坂元先生の娘さんでしょうか。

 横山)zoomを使って、自宅でパワーポイント映像を示しながら、学生に浮世絵の講義をしました。(専修大学)

鎌田コレクション館での浮世絵名品展(36-41)

 2014.3.12 酒井雁高より、肉筆歌麿/深川の雪、偽筆であるととのメールが届きました。

 稲垣進一、吉田隆志らと親しくなる 仁科又亮が春峯庵偽筆(肉筆)事件に漏れている作品が出回っている

 「肉筆浮世絵」 これが術語。肉筆を冠称として浮世絵の前に付す。

 鎌田英雄 *画家 館山市神余の東虹苑 鎌田コレクションの展示

 2015.1.02-1.05 (1)美人画名品展 … (6)

 佐脇嵩之(1707-1772) 江戸三橋/昌平橋、日本橋、永代橋

 (雁註)江戸三橋という名数はない 八百八橋と云われており、とても三つを代表とは言えません。これは偽筆であると告げました。

//浮世絵学04/外題(江戸地名俚俗字引)1979(昭和54)礒部鎮雄/江戸地名俚俗字引1-7 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/44691      *江戸の橋も驚くほど多い。なぜなら、当時、掘割を縦横に巡らし、水運が発達していた

長唄と日本舞踊のコラボレーション(42-44)

 2015.12.18 六本木シンフォニーサロン 都風流 俄獅子

 2016.7.16 多摩川 菖蒲ゆかた

 2018.4.21 蓬莱 喜撰

浮世絵学04/外題(歌舞音曲)酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/15940

浮世絵学04/外題(歌舞音曲)_1912-1927黒木/近世邦楽年表 2015酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/9588

浮世絵学04/外題(歌舞音曲)_2020歌舞音曲(かぶおんぎょく)/総目録(浄瑠璃、歌舞妓、歌舞伎) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/3145

ポーラ伝統文化振興財団との縁(45)

 2019.12.12 設立40周年 村田孝子

クラクフでの浮世絵講演会(46-47)

 横山)美術詐欺ー浮世絵をめぐって *英語で説明 *横山先生は英語が得意で、世界に発信している。

岩佐又兵衛は浮世絵の始祖として蘇るか(48-51)

 落款:絵師土佐光信末流岩佐又兵衛尉勝以図/三十六歌仙扁額(川越、仙波東照宮) *勝以(しょうい)

 浮世絵の始祖、又兵衛から師宣へ。

 箱書)岩佐又兵衛真筆 文政九丙戌仲秋 住吉廣尚

(雁註)落款がない。しかも盆踊り図と背景の秋の七草は関係がない。表装そのものが、ちぐはぐである。

江戸時代初期の謎の絵巻物(52-54)

 肉筆浮世絵 家煕(1667-1736)(画)/馬上のオランダ人、二人の支那人下男 三面? 寶永二年三月十日 1705

 (雁註)家煕自身が描いたものか、不明 何故、オランダ人を描いたのか。

//1944(昭和19)坂本武雄/三訂増補・公卿辞典、国書刊行会

*これは公卿補任(くぎょうぶにん)、公卿系図、公卿家譜、地下家傳など、膨大な史料を簡潔に纏めた便利なもの。中世以降の2,000人の公家の事跡が記録。

浮世絵学04/外題(長崎絵)/長崎絵総目録 781項目 2015-12-16酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/9957

円山應擧の眼鏡絵と泥絵(55-57) 泥絵は無款  一例、47.3x32.1cm

 1976(昭和51)渡辺信一郎コレクション 江戸の泥絵展、神奈川県立近代美術館

 1996(平成8)佐々木丞平+佐々木正子/圓山應擧研究 全2、中央公論美術出版 *應擧については、本書が基本

 豊春/浮繪和國景跡京都三拾三軒堂之図

//浮世絵学01/落款(豊春)とよはる 2020豊春/総目録 732項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21542

ライデン博物館所蔵の北齋筆風景画の謎解き(58-61)

 北齋は必ず署名しています。署名のない、無款の風景画をシーボルトに売ったとは考え難い。

//浮世絵学01/偽筆*19/落款(無款)_オランダ所蔵の泥絵(江戸景色ほか)酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/17961

//浮世絵学01/落款(北齋画号一覧)ほくさゐ_HOKU.SAI artist names, new & final theory 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/1220      *春朗、宗理、辰政、北齋、戴斗、爲一、卍  

1991酒井雁高/北齋(資料集成、年表)、秋田市立千秋美術館 日本浮世絵学会

浮世絵学04/外題 2020キリシタン関連 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/47241

歌川國貞(三代目豊國)が描いた扇の肉筆画(62-64)

(雁註)これは余りに有名な題材/浮世柄比翼稲妻、鞘当て。1823(文政6)、市村座。落款、五渡亭國貞画、その他、詳細に点検する必要がある。写真から判断すると、國貞にしては余りに稚拙な描きようです。版画を模写して、更に其角の賛を書いて勿体を付けたように思います。この賛の手跡も下手で、國貞自筆ではないでしょう。再度、点検、吟味して戴きたいと思います。國貞の総目録を参章してください。

//浮世絵学01/落款(國貞1)くにさだ1 2020國貞1/総目録 9,599項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21481

鳥居忠雅が描いた九代目市川團十郎の絵の謎解(65-66)

(雁註)八代目團十郎が自殺したのは痛ましい事件でした。

鈴木春信の絵の落款67-69)

(雁註)春信は1979浮世絵聚花04、これが基本である。大小(だいしょう)で「工」案の旗本依頼の浮世絵を描いた。外題、内題、画風、これらから判断すると武士であったか。町人では旗本などと付き合いは出来ない。巨川(きょせん)、これは「きょせん」と読むのだろう。役者に巨撰(こせん)、地名の巨摩(こま)など、「こ」の音が相応しい。「工」を削除し、落款を削除したものもある。これらは、恐らく袋入りで名数もので、高額であった。

なお、春信の引用する和歌は国歌大観など勅撰集から取材したものは少ない。明題和歌全集から取材している。

1795(寛政7)逸名/明題和歌全集から。春・夏・秋・冬・恋・雜・公事(くじ)に部立、類題、全12,443首。明題和歌全集は、室町初期ころ、成立したと考えられるが、現在のところ、1660s(寛文ころ)、版本で開版された。

*1976三村晃功(1940- )(編)/明題和歌全集 全2(本文、索引)、福武書店。*みうら てるのり

//浮世絵学01/落款(春信)はるのぶ_1979春信/総目録 1979浮世絵聚花04 酒井_雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/2189

//浮世絵学01/落款(春信)はるのぶ 2020春信/総目録 2,813項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21495

美人画絵師・喜多川歌麿の盛衰(70-73)

 哥麿また歌麿の総目録は、1978歌麿/総目録 1978浮世絵聚花03が基本。

 1989酒井雁高/歌麿(資料集成、年表)、秋田市立千秋美術館 日本浮世絵学会

//浮世絵学01/落款(歌麿)うたまろ_1978歌麿/総目録 1978浮世絵聚花03 (二代を含む)2015-06-24現在 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/2184

//浮世絵学01/落款(哥麿1 、歌麿)うたまろ1 2020哥麿/総目録 3,565項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

(雁註)全ての歌麿作品に、「深川」という外題、内題はありません。

 深川は、歌麿の時代は岡場所、歌麿は描いていません。深川の詳細、下記の岡場所図絵で実態が分かります。

浮世絵学04/外題(岡場所圖繪)1964花咲一男/岡場所圖繪1+2 1970花咲一男/岡場所圖繪3 拾遺 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/44671

http://www.ukiyo-e.co.jp/21466

//浮世絵学01/落款(長喜)ちょうき 2020長喜(ちょうき)/総目録 77項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/50160

歌麿の肉筆画三部作「雪月花」は本物か(74-82) *大論文

 これは横山実先生の代表的な論文と云っても過言ではない。謎解きとして、一般にも分かり易く解説しているが、その核心を突いている。むろん、一朝一夕で成るものではない、不断の収集、鑑賞、研究が結実したものである。

「品川の月」が偽作である根拠(74)

(雁註)偽筆 歌麿? 品川の月?

 島が描かれている? 品川沖の南に満月が描かれている? 二人の子供が妓楼の廊下で駆け回っている? 遠近法で描かれている?

浮世絵学01/落款(俊満)しゅんまん 2020俊満/総目録 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂) 歌麿と同年代、遊び仲間

http://www.ukiyo-e.co.jp/21519

浮世絵学01/落款(政演、京傳)まさのぶ、きょうでん_674項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) *落款が正確に読みとれない

http://www.ukiyo-e.co.jp/13297

・「吉原の花」が偽作である根拠(77)

(雁註)偽筆 歌麿? 吉原の花?

 仲ノ町の櫻、囲いがありません? これは妙です。花魁道中になっていない? 花魁が二階で櫻を見ている? 花魁の一人、葵(あおい)の紋が刺繍されています。徳川家の紋所、葵(あおい)を使えば、町内の町年寄ほか、切腹ものです。(77)

  1853喜田川守貞/守貞謾稿 全5(索引)。岩波書店

・「深川の雪」が偽作である根拠(79)

(雁註)偽筆 深川の雪?

 哥麿が栃木へ出掛けたという確証は全くない(栃木市教育委員会で確認)

 深川には吉原のような大きな妓楼はなかった。(80)

 及川茂、巨大な紙? (雁註)支那製の紙で画仙紙(がせんし)。幕末、明治初年は、書(しょ)が專っらであった。「書畫」というように、「画」は「書」の次に位置していた。しかも、和紙は簀の子(すのこ)で前後に漉き、両手左右を広げた幅が最大。

深川の雪、これは画仙紙を八枚繋いだものと記されているが、どのような継ぎ方、図面がないと分からない。

 横山)三部作、どれも無款 落款がありません。

 笹紅(ささべに)を塗っている。1820s(文政期)に笹紅が流行るが、1806(文化3)に亡くなった哥麿が笹紅で描くことはあり得ない。

 1853喜田川守貞/守貞謾稿 全5(索引)。岩波書店

 ここで、英山、英泉の総目録を提示する。浮世絵聚花では取り上げていない。

//浮世絵学01/落款(英山)えいざん 2020英山/総目録 2995項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21469 

//浮世絵学01/落款(英泉)えいせん 2020英泉/総目録 5082項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21472

・哥麿/更衣美人図 *これは偽筆 *夏衣装當世美人/伊豆藏仕入のもやう向き これを模写して肉筆を描いた。(81)

(雁註)楢崎宗重先生は、以前、歌麿の肉筆は福禄寿三星が唯一のものであると云っておられた。その肉筆作品が日本浮世絵博物館にあるというので驚いていた。

吉原を含む風俗

 

1830喜多村庭(信節、のぶよ)/嬉遊笑覧 全5(索引)。岩波書店    *これまでの活字本、誤りが多く、本書が最良、索引もある

 

1853喜田川守貞/守貞謾稿(近世風俗志) 全5(索引)。岩波書店     *これまでの活字本、誤りが多く、本書が最良、索引もある

なお図書館で、下記の史料集成を御覧ください。

浮世絵学04/外題(日本庶民生活史料集成)1968-1984(昭和43-59)/日本庶民生活史料集成 全30別1、三一書房 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/51938

浮世絵学04/外題(日本庶民文化史料集成)1973(昭和48)/日本庶民文化史料集成 全15別1、三一書房 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/51987

肉筆画三部作/雪月花が歌麿作に仕立てられた経緯(82)

//浮世絵学04/外題(吉原参考書目) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/5784

浮世絵学04/外題(吉原関連書目)(文化、風俗)(reference books of Yoshiwara, pleasure district) 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人http://www.ukiyo-e.co.jp/462

 歌麿、清長、栄之、浮世絵作品の基本は浮世絵聚花である。

//浮世絵学01/落款(清長)きよなが_清長(1752-1815)(64)/総目録 1985浮世絵聚花02 1136点 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/1464

//浮世絵学01/落款(清長)きよなが 2019清長(1752-1815)(1752-1815)/総目録 1,615項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21478

//浮世絵学01/落款(歌麿)うたまろ_ 1978歌麿(1750s-1806)(50s)/総目録 1978浮世絵聚花03/(二代を含む)(編年順)

http://www.ukiyo-e.co.jp/11988     *歌麿、落款は「哥麿」が殆ど、享年が不明なので、1850s  俊満1757-1820)(64)と同年代か

//浮世絵学01/落款(哥麿1 、歌麿)うたまろ1 2020哥麿(1750s-1806)(50s)/総目録 3,565項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21466

//浮世絵学01/落款(榮之)えいし_栄之(1756-1829)(74)(榮之)/総目録 1980浮世絵聚花08 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/8845

//浮世絵学01/落款(榮之)えいし_栄之(1756-1829)/総目録 1158項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

http://www.ukiyo-e.co.jp/30702

北齋の肉筆画「隅田川両岸景色図巻」の謎解き(83-92) *大論文

偽筆の図巻の(偽作と)流転(83)

1)偽作の経緯(83-85)

浮世絵学01/落款(政演、京傳)まさのぶ、きょうでん_674項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) *宗理期は、摺物専門に活躍

http://www.ukiyo-e.co.jp/13297

2)流転の経緯(86-92)

(雁註)偽筆 隅田川両岸図巻

・図巻には保証書がない(86)

・画席で描けるものではない(87) *「席画」(せきが)は色紙、扇面、書跡など、即興で描けるものに限ります。絵巻は、とても無理。席画は書畫会、つまり書跡を即興で描くもの。その流れとして画も描いた。従って、一気呵成に描いたものが多い。つまり密画は書畫会では描かない。

・影を描くことはありえない(87)

(雁註)浮世絵、日本画では、もともと影を描きません。何故なら、光の位置によって、影が変化してしまうからです。

・波紋が描かれていない(88) *横山、鎌田、両者とも、これを強調。

(雁註)偽作者は、明治中期、北齋辰政(ときまさ)/東都勝景一覧を参考に偽作した。勿体をつけるため、焉馬云々の賛を書き、野暮天が帯も締めず、三つ蒲団に上がって、あろうことか煙草を吹かしている。却って馬脚を顕した。

浮世絵学04/外題(東都勝景一覧)1800辰政(ときまさ)/東都勝景一覧 *影印で全頁掲載  酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)   http://www.ukiyo-e.co.jp/35378

 

浮世絵学01/落款(清親)きよちか 総目録 1,500項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/21475

浮世絵学01/落款(清親)きよちか 東京名所(とうけいめいしょ)総目録 550項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

http://www.ukiyo-e.co.jp/41721

・両国橋は実写ではない(89)

(雁註)佐脇嵩之画/永代橋 この肉筆は偽筆。何故なら江戸三橋という名数はない。

・船着き場と柳橋は実写でない(91)

・点景の描写の間をぼかすことはありえない(91)

・新吉原の室内の描写も実景ではない(91) *隅田川両岸一覧であって、吉原は全く無関係。こんな野暮天では登楼できない。

(雁註)烏亭焉馬(1743-1822)(80)。

 1783(天明3)太平楽記文 自作戯文の朗唱 *江戸落語の再興 落語再興の契機を造った。

 狂歌の鑿釿言墨曲尺(のみのちょうなごんすみかね)、大工の棟梁、

 1786(天明6)向島の料亭・武蔵家権之方で「噺の会」を主宰

 葬送の列は、各町内に延々と連なったと云う。

 北齋(1760-1849)の年齢を考えれば親子ほども違っている。延廣真治先生は何とか焉馬年譜を纏めたいとおっしゃていた。

浮世絵学01/落款(春潮)しゅんちょう 2020春潮(しゅんちょう)/総目録 **項目 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)

2020春潮(しゅんちょう)/総目録_204項目

横山)大型帆船が永代橋、両国橋を通り抜けることはあり得なかった。(90)

(雁註)延廣先生は、賛が焉馬の真筆であるとは何処にも書いていません。焉馬の手跡は驚くほど達筆です。私見では、臨書した本図巻とは全く手跡が違っています。何処かで焉馬の真筆を御覧になって下さい。

(雁註)横山実先生、実に浮世絵を楽しんでおられる様子が伝わってきます。これだけの随筆、論文は、横山先生が長年にわたり浮世絵を収集し、多くの方々の話を聴き、御話をしてきた精華です。各論説に御所蔵の浮世絵が掲載されて、説得力があります。同時に、長年にわたり、多くの研究書、図録を読み、吟味し、それらを書き、纏めたものです。大変な努力ですが、先生は実に楽しく浮世絵を鑑賞しておられます。最近、私が尤も感銘を受けた論文集です。なお、多くの方々に対して、失礼の言説も多々あったかと存知ますが、飽くまで「浮世絵学」という学問のための真摯な意見であると受け止めて戴きたいと存知ます。

(裏表紙)横山先生、初代豊國をかなり所蔵しておられる。

何か御気付きの点があれば御教示ください。

酒井 雁高(がんこう) 浮世絵・酒井好古堂主人 学芸員 curator

浮世絵・酒井好古堂 浮世絵鑑定家 [浮世絵学] 検索 http://www.ukiyo-e.co.jp

SAKAI_gankow,  curator,  professional adviser of ukiyo-e

文化藝術懇話会

100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14

電話03-3591-46781

 



アーカイブ

最近の投稿

最近の投稿

コレクション

新着情報・新着コレクション